フリーエージェント社会の到来―「雇われない生き方」は何を変えるか を読んでいたのですが、「在宅教育の革命」という章がとても面白いです。「学級崩壊」など、ある社会問題を解決するにはどうしたら良いのかと思考するのが癖で、本を読んでいて「これは!」という手法を発見すると興奮してしまいます。
以下抜粋
「学校に通うというのは、12年間の懲役刑で人生を始めるようなものだ、そこで学ぶのは、実は悪い習慣だけだ。私は学校で教師をしていて、賞までもらった。だからよくわかる。」
これは、もと教師のジョン・テイラー・ガットの言葉だ。ガットは1991年にニューヨーク州の年間最優秀教師賞を受賞した人物だが、現在は在宅教育という新しい潮流の旗振り役になっている。
在宅教育とは、子供が従来のような学校には通わずに、自分の好きなように、親や家庭教師、他の子供の力を借りて勉強することを言う。在宅教育は、18歳以下の子供たちにとってのフリーエージェントなのだ。
1980年の時点では、アメリカのほとんどの州で在宅教育は法律違反だった、80年代前半に在宅教育で学んでいた子供の数は、1万5千人でしかなった。しかし、現在の学校でキリスト教に基づいた教育が十分なされていないと不満を感じていたキリスト教保守派勢力が、自分たちの手で子供を教育することを望み、変化を強力に後押しした。
法律は変わり、在宅教育は一気に拡大した。90年には、全米で在宅教育を受けている子供の数は30万人に達した。93年には、アメリカの50州全てで在宅教育が合法化された。それ以来、キリスト教教育の推進とは無関係に、質が悪くて危険な学校に不満を抱く親たちが、在宅教育を普及させている。
現在、在宅教育を受けている子供の数は全米で170万人。その数は毎年15%の割合で増えているという。18歳未満の子供の10人に1人が在宅教育を経験している計算になる。在宅教育は、過去20年間で最も大規模かつ、最も成功を収めている教育改革運動と言えるかもしれない。
在宅教育を受けている小学生は、アメリカ全体の3%。しかし、公立学校による教育の独占に、風穴を開けるという意味では馬鹿にできない数字だ。私立学校に通う子供の割合と比べてみれば、それがよくわかる。在宅教育で学ぶ子供の割合は、私立の学校に通学する子供の4分の1にまで増えているのだ。
ウォールストリートジャーナル紙によれば、「在宅教育は、以前は一部の特殊な政治的・宗教的な信条の持ち主だけのものだったが、いまや教育成果の面で公立学校と互角であるだけでなく、いくつかの点では公立学校を上回っていることを示すデータも現れはじめている」という。実際、在宅教育の子供は従来型の学校教育を受けている子供より、共通学力テストの成績がいい。
在宅教育を受けている子供は、社会性の面でも概して極めて好ましい傾向が見られる。在宅教育に対する最も大きな誤解のひとつは、社会性のない子供が育つというものだ。しかし実際には、在宅教育を受けている子供は、従来の学校に通う同世代の子供より大人と接する時間や地域社会で過ごす時間、違う年齢の子供とつき合う時間が多い。ブライアン・D・レイという研究者によれば、「従来型の学校に通う子供は、在宅教育の子供に比べて攻撃的で騒々しく、負けず嫌いな傾向がある」という。
「攻撃的で騒々しく、負けず嫌い」な子供とは、まさに学級崩壊を発生させている子供達ではないでしょうか? 個人的にはこういった子供は協働する為のコミュニケーション能力も乏しく感じるので、「攻撃的で騒々しく、負けず嫌いで、コミュニケーション能力の低い子供」と定義したいと思います。
こういう最悪な子供を、学校が大量生産しているフローを想像すると、非常に気分が暗くなりますが、解決方法は分かっているのですから、政治家の皆様には、在宅教育を容認するような政策を打ち出して頂きたいものです。そして学校には在宅教育をサポートする教育のプロ組織を目指して頂きたい。
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